借金の返済ができないので破産を考えているのですが、破産するとどのような不利益を受けるのですか?

アドバイス

 

破産手続開始決定がされると、破産者は破産決定時の財産の管理処分権を失うことになります。つまり、自分では自由に財産を処分できなくなるということですね。

 

といっても、新たに働いて財産を得ることはできますし(新得財産といいます)、その新たな財産自体の処分は自由にできます。

 

なので、日常生活を送るにはあまり不自由を感じないかもしれません。

具体的に破産すると

どのような不利益・制限を受けるの?@

 

日常生活に不自由はないとはいえ、
破産すると次のような不利益や
制限を受けることになりますので
よく覚えておきましょう。

 

■居住が制限されます。
破産者は、裁判所の許可がないと
自由に引越しや長期の旅行ができません。
これについては、若干、不自由があるといえるでしょうか。

 

■財産の管理処分権を喪失します。
これは、前述したことですが、
破産者は破産決定時の財産※1の
管理処分権を失います。

 

そして、この財産は管財人に属することになります。

 

とはいえ、差押禁止財産はこの中には含まれませんので、
破産者が自由に処分できます※2。

 

差押禁止財産というのは、
要するに破産者の最低生活費のことです。

 

これまで取り上げられてしまったら
通常の生活ができなくなってしまいますので…。

 

ちなみに、この自由財産の金銭的なものは、
標準的な世帯の必要生計費の3か月分に相当する金額
ということで99万円とされています。

 

1か月33万円ですね。

 

また、裁判所の判断によっては、これ以上になることもあります。

 

※破産財団といいます。
※自由財産といいます。

 

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具体的に破産すると

どのような不利益・制限を受けるの?A

 

■説明義務・重要財産開示の義務があります。
破産者は、管財人や債権者集会などで
破産に至った経緯などを説明する義務があります。

 

また、破産手続開始の決定後遅滞なく、
所有している現金、預貯金、不動産、有価証券
その他裁判所が指定する財産の内容を記載した書面を
裁判所に提出しなくてはなりません。

 

■引致されることがあります。
要するに、
破産者が説明義務を果たさなかったり、
財産の占有管理を妨害したりするときには、
裁判所が必要と認めれば
身体を拘束されることがあるということです。

 

■通信の秘密が制限されます。
これは、裁判所が、
破産管財人が職務を行う上で
必要と認めて転送嘱託をした場合には、
破産者への郵便物が破産人に配達されるということです。

 

つまり、管財人は破産者の郵便物を
開封して見ることができるんですね。

 

■公法上の資格が制限されます。
破産者でも選挙権や被選挙権などの公民権は失いません。

 

ただし、その一方で、
弁護士、公認会計士、税理士、司法書士などの
一定の職業については就くことができなくなります。

 

■私法上の資格が制限されます。
破産者は、株式会社の
取締役や監査役になることができません。

 

また、後見人や遺言執行者
などにもなることができません。

 

といっても、サラリーマンの場合には、
破産者であることは解雇自由にはなりませんので、
破産したからといって解雇されることはありません。

 

■官報に掲載されます。
破産手続開始決定を受けたことが
官報に掲載されます。

 

とはいえ、裁判所から会社へ通知されたりはしませんし、
この官報をじっくり読んでいる人もそうはいないでしょうから、
それほど心配しなくても大丈夫です。

 

破産者になると戸籍や住民票に記載されてしまうかもと
心配な人もいるかもしれませんが、それもありません。

 

ですから、子供の就職や結婚に
支障が出ることもないでしょう。

同時廃止になった場合は

どうなる?

 

同時廃止とは、破産手続開始決定と同時に
破産廃止の決定がなされた場合のことです。

 

この場合は、財産の管理処分を失ったり、
通信の秘密が制限されたりということはありませんが、
公法上・私法上の資格の制限はありますので注意して下さい。

 

とはいえ、これらも免責が確定して
復権することになればなくなりますが…。

 

ちなみに、免責決定の後は、
クレジットカードの取得は難しいと思われます。

 

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