たった数日延滞しただけなのに、サラ金業者から全額支払えといわれているのですが・・・

・1年前にサラ金(消費者金融)からお金を借り、利息だけ支払っている状態。
・利息の返済は毎回2〜3日遅れていた。
・今まではサラ金から特に督促などはなかったが、先日急に、1年前から遅滞しているので全額支払えと言われた。

アドバイス

 

結論から言いますと、ご質問の場合は、直ちにサラ金(消費者金融)業者に全額を支払わなくてはなりません。

それはなぜ?

 

まず、契約書をよく見てほしいのですが、
そこに、
「毎月の返済を1回でも怠れば、
直ちに残元本全部と利息を支払う」
といった記載がありませんか?

 

これは
「期限の利益喪失約款」
と呼ばれているものなのですが、

 

サラ金(消費者金融)から
お金を借りる際の契約書には
たいていあるものなのです。

 

ご質問の場合だと、
毎回返済が2〜3日遅れていたということですので、
その最初の返済を怠った時点が、
この期限の利益喪失約款にあてはまる場合といえそうです。

 

サラ金業者はこの
「期限の利益喪失約款」
にもとづいて、
全額の返済を求めてきたといえるでしょう。

 

なので、あなたは
サラ金(消費者金融)業者からの督促に応じて、
直ちに全額を支払う義務があるということになります。

 

たった2〜3日なのにと思うかもしれませんが、
法律上は延滞の日数で判断されるわけではありません。

 

なので、あとでいやな思いをしないためにも、
返済日までにきちんと支払わうようにしましょう。

 

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1年間督促をしなかった業者に

落ち度はないの?

 

1年間督促をしなかったということで、
サラ金(消費者金融)業者に
落ち度はないのかということですよね。

 

原則としては、
期限の利益を喪失すると、
直ちに全額を支払わなければならないのです。

 

ですが、期限の利益を喪失した後、
再び期限の利益が与えられたと考えられるとして、
全額を支払わなくてもよいとする判例もあります。

 

これは、貸金業者から借金をしたAさんが、
一度は支払いを遅延したものの、
その後は半年以上利息の弁済を続け、
貸金業者は督促せずに
利息を受領してきたという事例です。

 

裁判所は、
貸金業者が督促せずに
利息の支払いを請求し続け
これを受領しているという事実を認定し、
「いったん喪失した期限の利益を黙示の合意により再度付与して、
元金の利用を許容し損害賠償金の請求を一部放棄した」
と認定しています(佐世保簡判昭60・9・24)。

 

ご質問の場合、
この事例と類似性がどれくらいあるかは不明です。

 

ですが、仮に裁判で争った場合には、
サラ金(消費者金融)業者が
あらためて期限の利益を喪失させる旨の
意思表示をしてくる前の分については、
遅延損害金が発生していないとされる余地がありそうです。

 

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