ATMを利用して制限利息を超えた利息を支払ってしまった場合、これは返してもらえるのですか?

・消費者金融(キャッシング)からの借金をATM(現金自動貸付返済機)を利用して返済した。
・その際、制限利息を超えた利息を支払ってしまったが、これは有効な支払いになってしまうのか?

アドバイス

 

ATMの画面に
元本と利息がきちんと区別されていて、

 

返済した後に
貸金業規制法上の一定の受取証書が
排出されたか送付されたかしていれば、
有効な利息の支払いとなる可能性が大きいです。

その場合、

なぜ有効な支払になってしまうの?

 

その場合は、
貸金業規制法上の「みなし弁済」になってしまうからです。

 

「みなし弁済」というのは、
本来、制限利息を超えた利息の支払いは
無効であるはずなのですが、

 

一定の要件を満たした場合には、
それを有効な利息の支払いとみなすという規定のことです。

 

なので、ATMの支払いの場合には、
支払った際にそれを利息として認識していたか、
また、貸金業規制法上の受取証書の交付があったかどうか、
がポイントになります。

 

この2つの要件が満たされていれば、
「みなし弁済」に該当します。

 

なので、
制限利息を超えて支払った利息についても
有効な支払いになってしまいます。

 

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利息として

認識していたかどうかについて

 

この利息の認識については、
債務者側で、
受取証書に記載される利息や遅延損害金の額が、
返済する前に認識できるようであれば有効になります。

 

具体的には、あらかじめ
元本と利息が区別された弁済計画書が交付されていたり、
個々の請求書が債務者に交付されていて、
それにもとづいて支払いがされたような場合です。

受取証書の

交付について

 

貸金業規制法上は、
預・貯金口座への払込みの方法によって弁済を受ける場合には、
弁済者の請求があった場合にだけ
受取証書を交付しなければならないとされています。

 

つまり、
ATMを利用した支払いの場合には、
消費者金融などの貸金業者は
受取証書の交付はしなくてもよいということです。

 

しかしながら、
これはみなし弁済の規定が適用される場合には、
必要であるということになっています。

 

実際、最高裁も
貸金業者は払込みを受けたことを確認した都度
直ちに受取証書を債務者に交付しなければならない
と判断しています(最判平成11.1.21民集53-1-98)。

 

ただし、
消費者金融(キャッシング)業者が
設置しているATMについては、

 

ほとんどのもので、
貸金業規制法上の受取証書がその場で排出されるので
問題はないのですよね。

 

ですが、
これが銀行等のATMを利用して返済した場合には、
元本と利息の区分や内訳が不明な利用明細書しか
排出されないので問題になります。

 

では、この場合どうなるのかというと、

 

最高裁は、そのような場合でも
受取証書を弁済の直後に交付しなければ、
みなし弁済の適用はない
としています。

 

この判例では、
貸金業者が弁済を受けてから7〜10日以上後に
受取証書を交付した事案について
みなし規定の適用を認めませんでした
(最判平成16.7.9裁判所時報1367-7)。

 

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